中央競馬には次の2つの調教拠点があります。
- 美浦トレーニング・センター(通称:美浦トレセン)
- 栗東トレーニング・センター(通称:栗東トレセン)
また、競馬について調べていると外厩という言葉を目にすることもあります。
今回は、中央競馬における主要なトレセンと外厩、そして外厩で調教されている馬について解説していきます。
主要トレセン「美浦トレセン」と「栗東トレセン」について
まずは、主要トレセンとして知られている美浦トレセンと栗東トレセンについて説明していきます。
美浦トレセン
美浦トレセンは、茨城県稲敷郡美浦村にあるトレーニング・センターです。昭和53年4月に開設されました。広さはおよそ224万平方メートルとなっていて、なんと東京ドームおよそ48個分という広大な敷地を有しています。
- 坂路調教コースや森林馬道
- 競走馬スイミングプール
- 馬場(芝コース、ダートコース、ウッドチップコースおよび坂路調教コース、ニューポリトラックコース)
- 厩舎
が完備されています。
厩舎の数は、およそ100あり、常に2,000頭以上の競走馬がレースに向けたトレーニングを行っているのです。
栗東トレセン
栗東トレセンは、滋賀県栗東市にあるトレーニング・センターです。広さはおよそ159万平方メートルとなっていて、甲子園球場およそ40個分と同じくらいの敷地を有しています。調教コースは、平地コースと坂路コースがあります。
【平地コース】
- Aコース:障害コース
- Bコース:ダートコース
- Cコース:ウッドチップ馬場
- Dコース:内側が芝・外側がニューポリトラックコース
- Eコース:ダートコース
また、以下の施設が完備されています。
- 競走馬スイミングプール
- 厩舎
- 競走馬診療所
競走馬診療は、競走馬の健康を管理したり、病気の診断や治療を行ったりする場所です。
外厩とはどのような施設なのか?
外厩は、主要な2つのトレセン以外にある厩舎のことを指します。外厩には、調教施設だけではなく状態回復施設も完備されていて、プロの手で調整してもらうことができます。そのため、より質の高い調教を施したい場合に外厩を利用するケースが多いです。
ノーザンファームの坂路コースは他と比べてみると斜度が急なので、よりレベルの高いトレーニングを行うことが可能となっています。また、雪などによって外での調教が難しい場合は、屋内の調教施設を利用できるため、効率的な調教が可能となると考えられています。
外厩の役割には、次のレースに向けた馬体の調整やリフレッシュのための休養、そして調教を行うというものがあります。外厩に放牧することでプラスの結果になる場合もありますが、太め残りやガレるといった状態になってしまうこともあるので注意しなければいけません。
太め残りは体重が大幅に増えてしまうこと、ガレるは疲労が溜まって体重が減るだけではなく毛のツヤがイマイチになっている状態を指します。また、何らかの理由で餌である飼い葉を食べなくなってしまい、体がやせ細ってしまった場合にもガレるという言葉が使われます。
外厩ではどのような馬が調教されているのか?
外厩は複数あり、それぞれに異なる特徴があります。最後に、外厩ではどのような馬が調教されているのかという点についてみていくことにしましょう。
ノーザンファーム
ノーザンファームは、サクラバクシンオーやキングカメハメハ、ヴァーミリアン、カネヒキリ、ディープインパクト、サトノダイヤモンド、アーモンドアイなど多くのGⅠ馬を輩出してきた外厩です。2021年4月に行われた桜花賞で1着になった真っ白な競走馬・ソダシもノーザンファームの生産馬です。
吉澤ステーブルWEST
吉澤ステーブルWESTは、ウメノファイバーやタニノギムレット、ゴールドシップ、エポカドーロなどのGⅠ馬を育成してきたという実績を持っています。またダノンシャークやジャスタウェイ、サンビスタ、クラリティスカイ、レッツゴードンキ、ケイアイノーテックは、吉澤ステーブルWESTの分場利用馬としてGⅠで勝利しています。
社台ファーム
社台ファームは、アグネスタキオンやマンハッタンカフェ、ダイワスカーレット、エイシンフラッシュ、カレンチャン、オメガパフュームなどのGⅠ馬を清算したという実績を持っています。
社台ブルーグラスファーム、日高社台ファーム、山元トレーニング・センター、グリーンウッド・トレーニング、有限会社社台サラブレッドクラブ、有限会社社台レースホースといった関連施設・関連会社があります。多くのサラブレッドを輩出しているため、名前を聞いたことがあるという人もきっと多いでしょう。
まとめ
競馬に最近興味を持ち始めた人であれば、トレーニング・センターや外厩がどのような場所かイマイチよく分からないという人も多いでしょう。しかし競馬についてより深く知って楽しむためには、知っておいた方が良いと言えます。
外厩で生産された馬の中には知名度が高いサラブレッドもたくさんいるため、名前を聞いたことがあるという人もきっといるはずです。いま活躍している競走馬の父や母、祖父母のような立場に当たる馬もいるので、血統を調べてみるのも面白いでしょう。